大田区御嶽神社

ootaku ONTAKE shrine

一山行者について

無の上に

    浮きて楽しむ心こそ

            誠の道の宝なりけり  《一山御歌》

御嶽神社別棟に『一山神社』がある(本殿左側)。御祭神は一山(イッサン)霊神。俗名は治兵衛。神奈川県津久井村の出身で、埼玉県与野に移り井原家に婿入りしたが『下化衆生』の本願を叶えようと井原家を離れて同地の円乗院で僧となる。

 

仏門修行の後諸国を行脚し三峯の修験道の道場を訪れ、また覚円峯に行き仙峨の滝で心身を清め、木曽駒ヶ岳を経て木曾の御嶽に入った。一山行者は大滝口より清滝に至り、柴の庵を結び不動滝で寒三十日の水行などをした。

 

ある夜ふと夢を見た。御嶽三社の大神達が現れて『早々下山し世間大衆の苦悩を救え、幸い汝に因縁の地あり、都を去る三里。』と述べた。一山行行者は山を降り江戸へ向かう。そして御嶽の神々の教えを広めながら近郷近在を歩いているうちに、武州荏原郡嶺村に来て、御嶽の小社を発見『これぞ木曽御嶽の大神の示現したところ・・・』とこの地に庵を結ぶ。

 

付近の人は一山行者を『偉い行者』と崇め信者も増え、進徳講話、参詣聴聞などを行い確固たる地盤を築くに至った。天保二年(一八三一年)社殿を新築し、布教怠を続けたが、嘉永四年(一八五一年)一二月二十日、神田見富家の隠宅で没す。行年は定かでない。

一山神社

開山一山の碑

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